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カルマ論で読む『盤瓠』
盤瓠(ばんこ)
中国・ヤオ民族の伝説
『セドナ』の記事にも書きましたが、こちらも世界に数多ある『犬と結婚する作品』のうちのひとつです。
南総里見八犬伝は、この作品から着想を得たと言われているそうです。
確かに、冒頭の下りはほぼ同じなんですね。
私も子供の頃、児童書で八犬伝を読んだ時は、八房が土佐犬の姿で描かれていたのが色々リアルで度肝を抜かれたものです…。
カードのシーンは、子供や孫に囲まれて幸せそうに暮らす盤瓠(ばんこ)と王女の姿。すっかり月日が流れて年老いた姿で描かれています。
ウェイト版のペンタクルの10に相当するカードですが、そちらに対しては『金持ちええな〜!』と個人的には嫉妬を禁じ得ない感じなのですが、盤瓠の場合は、犬なのと、ここに至るまでの苦労や覚悟が伺えるので素直に『良かったね!』と思えます!笑
(もちろん、ウェイト版のお金持ちも、苦労してお金を稼いだのかも知れないのですけどね)
たぶん、盤瓠はもともと王女様を好き?で、結婚したくてめちゃくちゃ頑張ったんじゃないのかなぁと私は推察しています。
その辺りの描写をしっかりされている文献があれば良いのですが…。
そして、あっさりと展開していますが、盤瓠が敵国の将軍の首を討ち取るのは並大抵のことではなかったと思います。犬ですし。(最初は虫でしたが…)
まぁ逆に犬だからこそ討ち取れた可能性もありますが。盤瓠のすごいのは『でもオレ犬やし…』と諦めないところだと思うんですよね。
(更には、最下位からのスタートなので、他の兵士の嫉妬の対象になりにくかったり、弱者の気持ちがよく分かっていたので、ネガティブなカルマが発生しなかったのだと思います)
これが『決死の覚悟が運命を切り開く』という典型です。実は、これが願望成就の基本であり、極意と言えるのです。
更に、王女もなかなか優しい女性です。
人間の姿になるために鐘の下に籠った盤瓠を心配して食事を持って行ったり(このせいで頭だけ犬のままになってしまうのですが)、
『犬には王女と結婚させられない』と約束を反故にしようとした皇帝を窘めて、自ら盤瓠と結婚することを決意したという説もあります。
王女ももともと盤瓠を可愛がっていたのでしょうね。
カードをリーディングするにあたって、この物語の肝になるのは、やはり捧げる覚悟から幸せが生まれるということになるのかなぁと思います。
皇帝は、大事な娘を捧げる覚悟をしなければ、敵国に滅ぼされていたかもしれません。
盤瓠は、命を捧げる覚悟をしなければ、王女と一緒になれず、おそらく犬のままでした。
王女は、犬の盤瓠に自らを捧げる覚悟をしなければ、彼自身或いは世界からの報復を受けていたと思われます。
ハッピーエンドになるには、やはり積み立てや代償が必要なのですね。