スケジュールのお知らせ
カルマ論で読む『うるわしのワシリーサ』
『うるわしのワシリーサ』
ロシアのおとぎ話
ワンド9
大量の顎骨が燃えているので、これまたギョッとされるカードなのですが、絵のインパクトほどネガティブな話ではないですよ🤗
ワシリーサは近所でも評判の美しい女の子です。
幼いワシリーサは病床の母親から、小さなお人形を託されます。
『困ったことがあったら、お人形に食べ物を与えて相談するように』と言い残して母親は亡くなってしまいます。
時が経ち、商人である父親が再婚したのは意地悪な女性でした。連れ子の姉妹までいます。
ワシリーサは継母と姉妹に酷い仕打ちを受けながら働かされました。
なんだかシンデレラと同じ展開ですね。
(実際にロシア版のシンデレラと呼ばれているようです)
シンデレラとの違いは、母がくれたお人形がワシリーサを助けてくれるところです。
食べ物を与えて相談すると、継母に押し付けられた膨大な仕事を全て肩代わりしてやってくれます。有能なドラえもんみたいだな…。
更に、父親は仕事のためにしばらく家を離れることになってしまいます。
日頃から、美しいワシリーサを疎ましく思っていた継母は、彼女を家から追い出すべく、暗い森の小屋へと住まいを移します。
森にはバーバ・ヤーガという恐ろしい人食い魔女が住んでいました。
(バーバ・ヤーガは、ロシア民話に時々登場する魔女だそうです。日本でいうと山姥みたいなイメージでしょうか)
夜になりました。
継母は、家中の灯りをわざと吹き消して、バーバ・ヤーガに火を分けてもらうようワシリーサに命じます。
ワシリーサは人形に相談します。
人形はこう答えました。
『私と一緒にいれば大丈夫!』
人形に勇気づけられたワシリーサは、暗い森の中を歩きます。
一日中歩き回って、やっとのことでバーバ・ヤーガの家へ辿り着きますが、家は鶏の脚の上に建っているし、柵は頭蓋骨で出来ていてランタンのように光っているし、何とも不気味な光景です。
ワシリーサは怖くなって、ぎゅっとお人形を抱きしめます。(このシーンがカードになっていますよ!)
そこに、すり鉢に乗ったバーバ・ヤーガが帰ったてきます。(すり鉢てwwwと思いましたが魔女のホウキみたいなもののようです)
ワシリーサが事情を話して火を分けてもらおうとすると、意外なことにバーバ・ヤーガは承諾します。
ただし、与えられたお仕事を完璧にこなす条件付き。もし出来なければ、食べられてしまうことになりました。
ここまで来て引き返すわけにもいかないワシリーサは、覚悟を決めます。
でも、蓋を開けてみると、ケシの実を土の中から分けるだの、雑穀を種類ごとに分けるだの、とんでもない無理難題!ばかりで、ワシリーサは涙目です。
更に、バーバ・ヤーガはご馳走を食べる癖に、ワシリーサにはパンのカケラを与えるのみです。ワシリーサは、自分もお腹が空いて堪らないでしょうに、なけなしのパンのカケラをお人形に与えて祈ります。(食べ物が祈りを叶えるための代償になります)
私は、お人形のことは神様の分身?天使?だと解釈しています。
ワシリーサの母親の信仰が厚く、多くの徳を積んでいたのではないかと思われます。
祈りとパンを捧げる儀式で神様と繋がって奇跡が起きるのだと考えられます。
とてもキリスト教的です。
因みに、これは完全なる『他力本願』です。
他力本願ってネガティブなイメージがありますけど、実はそんなことはないんです。
『全て神様にお任せします!』という生き方です。
願いを祈り、代償を支払って、あとは沿うだけ。すると神様が願いを叶えるために代わりに動いてくれるのです。(これは人に対しても使えますよ…コソコソ)
カルマ論では、完全なる自己責任、つまり『自力』を目指しますが『他力本願』はその逆です。そして、実はどちらも願望成就の方法としては正しいです。
例えるなら、目的地まで自力で泳いで渡るか、浮き輪で脱力しながら渡るか?といった違いです。但し、後者は代償が必要ですよ。
途中で嵐に遭って転覆しそうになっても、『これも神様の思し召し』と考えられる信仰心も必要です。
さて、ワシリーサのお話しに戻ります。
ワシリーサが寝ている間に、お人形はお仕事を完璧に片付けてしまいます。
(寝ている間に…というのは、願った後は忘れましょうという引き寄せの法則的なものも感じます)
ワシリーサを食べられると思っていたバーバ・ヤーガは当てが外れてガッカリです。
それにしても、何故こんなにもお仕事が出来るのでしょう?
不思議に思ったバーバ・ヤーガは、ワシリーサに尋ねます。
すると、ワシリーサはこう答えました。
『母の祝福があったからです』
なんて素晴らしい解答!
ワシリーサの敬虔さ、謙虚さが垣間見えます。
私なら、自分の実力と履き違えてドヤってしまいそう。
すると、バーバ・ヤーガは、
『祝福されている人間に用はないよ!』と、煌々と灯っている頭蓋骨のランタンをワシリーサに渡すと、さっさとお家に帰してしまいます。
祝福されている人間には、手出しできないから時間の無駄だと思ったのでしょうかね?
聖書の悪魔的な前提ですね。
でも、バーバ・ヤーガは、他のロシア民話にも出ていて、時には良い奴らしいです。
継母の言いつけ通り、火を手に入れたワシリーサが帰宅すると、頭蓋骨のランタンから火が燃え上がり、継母と姉妹を焼き尽くしてしまいました。
その後の展開としては、
ワシリーサが作った刺繍を王子様に直接献上した時に見初められ、結婚してお妃様になり、帰ってきた父親も迎えてみんなで一緒に暮らしましたとさ、めでたしめでたし
という感じです。
(一応、王子様に見初められるきっかけとなった刺繍は、お人形ではなく、ワシリーサが自力で作ったものです)
この展開がロシア版シンデレラと呼ばれる所以ですね。
ストーリー展開には、色んなバリエーションがあるみたいですが、基本的にはハッピーエンドです。
ワシリーサの物語は、他力本願を上手く使って、困難を乗り越える暗示を私たちに与えてくれていると思います。
『でも私、願いを叶えてくれるお人形なんて持ってないし…』
という声が聞こえてきそうですね。
いいえ、一応みんな持っていますよ!
それは『潜在意識』です。
上手く使いこなすためのヒントをワシリーサの物語から得られますように!