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カルマ論で読む「タジャル王子とドゥニャ姫』
『タジャル王子とドゥニャ姫』
(イラン・アラブ民話)
こちらは、千夜一夜物語の中で、シエラザードによって語られる物語の一つです。
(シエラザードは『tarot of the divine』の女教皇のカードになっています)
タジャル王子は、ドゥニャ姫が手掛けた作品に胸を打たれ、また商人であり友人となるアズィーズから語られるドゥニャ姫像にすっかり心にを奪われて想いを募らせます。
父親伝いに婚姻の申し込みをした時は、にべもなく振られてしまうのですが、タジャル王子は諦めません。
それに、タジャル王子には、彼を応援し、協力してくれるたくさんの味方がいるのです。
これはひとえにタジャル王子の美しさと日頃のお人柄ゆえかなと思います。
登場人物みんな王子推しになるんですよね。おそらく助けてあげたい系王子というジャンルですね(?)
タジャル王子は、彼らの力を借りて、はるばる樟脳諸島へ向かい、市場に店を出すのです。
すごい行動力だと思いませんか?お金もめちゃくちゃかかっていますよ。
タジャル王子は、ドゥニャ姫の行動範囲を事前にリサーチして、用意周到に準備しているのです。
王子でイケメンだから許されるけど、一歩間違えばストーカーです。汗
そして、樟脳諸島に辿り着いてから、いちばん心強い味方になってくれるのが、ドゥニャ姫の乳母である老婆です。
この方がタジャル王子の大ファンになり、
『ぜったいワタシが2人をくっつけるわ!』と大張り切りなのです。
その後、タジャル王子は老婆を介して、ドゥニャ姫と何通も手紙のやり取りをして、ますますその想いを強めていくのです。
この時点でまだタジャル王子とドゥニャ姫は一度も対面していません。
にも関わらず、タジャル王子はドゥニャ姫のことが好きで好きで会いたくて堪らないのです。
これらはSNSやアプリで出逢うというような、現代の恋愛に通ずるものがありますね。
しかし、幾らタジャル王子が愛の言葉を綴っても、ドゥニャ姫からの返答は、
『おい、やめろ。今すぐやめろ』
『キモイ』
『死ね』
と、こうです。
(本当です!千夜一夜物語読んでみて!!)
何でかというと、ドゥニャ姫は男性が大っっ嫌いなんですね。
彼女は結婚が嫌すぎて、タジャル王子との婚姻のために派遣された大臣の頭をカチ割ろうとしたくらいです。
(本当です!読んでみて!!)
普通の男性だったら、『もういいわ…』とリタイアすると思うのですが、タジャル王子は頑張ります。
表面的なドゥニャ姫の反応に囚われることなく、本質を見極める努力をするのです。
自分の価値が下げられても、努力をやめないタジャル王子…なかなか出来ることではないですよ!
(現に、ドゥニャ姫へ求婚していた近隣諸国の王子たちは一発でプライドをへし折られ『もういいわ…』となっていたので、結婚出来なかったのですから。)
そして、この物語の最大の転換点となるのが、老婆から語られる『ドゥニャ姫が見た夢』の話です。
それは、つがいの雄の鳩が、雌の鳩を見捨てた夢でした。ドゥニャ姫は『鳥ですらこんな有様なのだから、人間の男なら尚のこと!』
と、彼女は人間の男を強く嫌悪するようになり、思い込みを訂正しようとする誰の言葉にも耳を貸さなくなってしまったのです。
実は、原本にはタジャル王子自身も『たかが夢で?!』と驚きを隠せないシーンがあります。
そりゃそうですよね。
ドゥニャ姫の『根拠のない思い込み』が、物事を難しくさせているのです。
ですが、私たちもこれを笑ってはいられません。
根拠のない思い込みによって、人間関係や、物事の発展を駄目にしてしまっていることって多いのです。
もし、自分を顧みるのが難しければ、周りを見渡してみてください。そういう人って身近にいたりしませんか?
もし思いあたれば、『自分もそんなところがあるかもしれない』と意識してみてください。
この『思い込み』こそがカルマなのです。
ドゥニャ姫は『男はろくでもない』という思い込みを元に世界を見ることになります。当然、結婚などもってのほかですね。
人間『正しい』と思っていることは、周りに何と言われようとなかなか変えられないものです。
でも、タジャル王子一行は上手いこと考えました。
ある絵を見せることで、
『ドゥニャ姫自身に気付かせる』という手法です。
絵を用いてカウンセリングをしたと言えますね。この工夫・アイデアがまたすごいところです。
きっと、議論で説得しようとしても、抵抗を発生させるばかりで上手くいかなかったと思うのですよね。
その甲斐あって、
『もしかして、私の思い込みだった…?』と気がつくことの出来たドゥニャ姫。
カルマが解ける瞬間です。
そして、やっとここに来て2人は初対面!長かったですね。
カルマが解けたドゥニャ姫は、早速タジャル王子に一目惚れ。(但しイケメンに限る…ですね)
そこからも何やかんやありますが、物語は大団円へと向かっていきます。
★このカードのリーディングのポイント
ラブラブ過ぎる2人が描かれていますので、ついポジティブに引き摺られがちですが、
2人の関係を妨げる、強烈な前提がある可能性を考えなければいけないカードです。
更には、
○諦めないこと
○情報収集の大切さ
○行動力
○リスクを背負う覚悟
○相手を説得する工夫
○自分の価値が高いこと(高くする努力)
が大切だということです。
やはり、努力なくして大団円なし!
ですね。