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カルマ論で読む『スイカの伝説』
『スイカの伝説』ベトナム/コイン9
人が死なない物語は良いですね〜!
優れた実業家、マイアンティエムの物語です。
どうやら、この物語は、ポジティブなカルマの流れと『(その幸運は)誰のおかげか?』というのがテーマのようです。
これは、孤児だったマイアンティエムが、ベトナム王に仕え、様々な贈り物を賜るも、傲慢な発言から島流しの憂き目に遭い、スイカを発見して見事に再起をかける物語です。
王は賢くて魅力的なマイアンティエムを非常に気に入って、自分の娘まで差し出し、豪邸や使用人を贈るなど大盤振る舞いです。
でも、宮廷には、そんなマイアンティエムを快く思わない人達もたくさんいました。
『孤児上がりが何様?!』
『うちは何代も続く廷臣なんですけど?!』
みたいな感じでしょうかね…。王による恩恵をたくさん受けるマイアンティエムは嫉妬されてしまうのです。彼らはマイアンティエムの揚げ足を取ろうと、虎視眈々としていたのでしょうね。
ある宴席で、マイアンティエムは『自分の幸運は前世(カルマ)の行いが良いからです〜』とか言ってしまったらしいです。
廷臣たちは、待ってました!とばかりに、『マイアンティエム、あんなこと言ってましたよ〜!』と王に告げ口します。
王は『誰のおかげで豊かに暮らせていると思っている!!』と激昂して、マイアンティエム一家を荒凉とした島に追放してしまいます。
マイアンティエムが『王様のおかげでございます』と謙虚に出来ていれば、こんなことにはならなかったのですが…。
廷臣たちの嫉妬を買ってしまったのもよろしくないですね。ちょっと調子に乗ってしまったのかもしれません。
真水もほとんどないという島に流されて酷い目に遭うマイアンティエムですが、スイカを発見し事業にすることで、運命を切り開きます。
彼の言うことは、あながち間違っていなかったのですね。もともとポジティブなカルマを持っていたのです。
その理由として、マイアンティエムの人生が孤児からスタートしている点が有力です。幼い頃にとても苦労しているはずなのです。
カルマの法則では『家系宿命期』という考え方があり、安定期→下降期→低迷期→上昇期→安定期→下降期…というように家系単位で続いていきます。(そこに個人単位の宿命期が加わって出来事が起こっていきます)
家系宿命期はカルマの巡る仕組みである不理解感情論を根拠にしています。
お金持ちの人は、お金のない苦労を理解していないので、お金がどんどん無くなり、下降期→低迷期と辿っていくことになり、
貧乏な人は、お金持ちの気持ちを理解していないので、どんどんお金が入ってきて、上昇期→安定期と辿っていくことになるという仕組みです。
マイアンティエムは孤児として低迷期を過ごし、ベトナム王に仕えることで一気にブーストして上昇期に入ったと考えられます。
人によっては孤児であることを悲観したり、ひねくれたりして、犯罪に手を染めることもあったと思うのですが、マイアンティエムはきっと孤児である境遇に飲み込まれてしまわず誠実に暮らしていたのだと思います。
そうでなければ孤児がベトナム王に仕えることには中々ならないと思うのです。
マイアンティエムには苦労した過去があるからこそ、荒涼とした島に追放されても、腐らずに頑張れたのだと想像出来ます。
『なんで俺がこんな目に遭わないといけないんだ…』と頭を抱えていては、一家全滅になってしたかもしれません。
きっと、今の自分に出来ることを、ひとつひとつ誠実にやってみたのだと思います。
すると、黄色い鳥(リラックマの相方じゃないよ!)が幸運のサインになってくれました!
さて、マイアンティエムが事業に成功して大富豪になったことを知ったベトナム王は、その幸運が王の恩恵ではなく、マイアンティエム本人の行いによるものだと悟りました。
王が何も贈らなくても、自分の力で富を築いたのですからね。しかも、荒涼とした島で…です!
そもそも、きっと王に仕えなくとも、マイアンティエムは、その機知によって大富豪になっていたことでしょう。
この物語では、『オイディプス王』とは逆に、どのように選択を変えようとも、ポジティブなカルマが実現していく様を描いているように思います。
あとは、基本なのですが、(例え自分のカルマで豊かになったのだとしても)『おかげさま』の気持ちを忘れないこと、やってあげたことを『自分のおかげ』と過度に評価しないこと…が大切だと思います。