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カルマ論で読む『千夜一夜物語』
『千夜一夜物語』
トルコ
アラビアのおとぎ話
先に記事に上げました『タジャル王女とドゥニャ姫』を始め、『tarot of the divine』の中には、『千夜一夜物語』の中でシエラザードによって語られる物語がいくつもあります。
それらの物語が語られる前提を先に掘り下げておこうと思いまして…
『tarot of the divine』に於ける『女教皇』のカードであるシエラザードについて書いていきたいと思います。
むかしむかし、サーサーン朝(ペルシャ)というところに、シャハリヤールという名の王様がいて、民を愛する大変立派な君主だったのですが、ある日、妻の不貞を知って、浮気相手もろとも処刑をしてしまいます。
(作中には、それ以外にも色々ありまして)すっかり女性不信に陥ったシャハリヤール王。
毎夜、大臣に命じて処女を連れて来させては、翌朝には殺してしまうという非道ぶりを3年も続けるのです。
(さらっと書きましたが、妻の浮気の仕方もなかなかエグくて、そらそうなるわ…となりますので、良かったら原本読んでみてください)
このままでは、国中の若い女性が尽きてしまう…という時です。
大臣の娘であるシエラザードが名乗りをあげるのです。
これ以上、若い女性たちの命が脅かされないために。
彼女は王に命懸けで物語を語り続け、遂に1001夜を生き延びて、彼に愛され正妻となるのです。(しかも子供まで産まれていました)
何という見事な大団円!!
自分の命を捧げ、いつ殺されるか分からない緊張感の中、物語で王の前提(カルマ)を変えてみせたのです。
私はこの記事を書くために、初めて『千夜一夜物語』を手に取った訳ですが、シエラザードが凄すぎて、なんなら入信してしまいそうな勢いです。完全にシエラザード推しです。
圧倒的な暴力を、言葉で変えるって、最強ではないですか?
シエラザードなら、戦争も終わらせてしまいそう。本当に凄いです。
彼女が語った物語の中には、王の女性に対する思い込みを変えるための暗喩が多分にあったと思います。
『タジャル王子とドゥニャ姫』や、これから記事を書く予定の『海のジュルナール』にもそれが伺えます。
王は自然と癒されていったのですね。
まさに物語を用いたカウンセリングです。
(『タジャル王子とドゥニャ姫』では、絵を用いてカウンセリング?していましたね。あちらは一瞬でしたが、こちらは1001夜かかったというのは、王のカルマがそれだけ大きかったということかと思います)
乱心して国に害を為す王(皇帝)の軌道修正をするパートナー。
これがカルマタロットにおける『女教皇』であり、シエラザードは見事にこれをやってのけています。
それを支えるのは、膨大な知識と知性。
カルマタロットの女教皇は律法を、シエラザードは、古今東西の余程たくさんの本を読んでいたことが伺えます。
そして、最も大切なのは、おそらく信仰心から来る覚悟です。
シエラザードも、アッラーの導きを信じて我が身を捧げる覚悟をしました。
(作中でも、みんなアッラーアッラー言うてますので、私はコーランの勉強もせなあかんなと思っている次第です)
それは王に対しても自分の前提を全て捨てて『あなたに全てを捧げます』という姿勢になるので、完璧に沿うことが出来ると考えられます。
男性は沿ってくれる女性を、とても大切にします。(実は沿う方が、思い通りに動いてくれますよ…コソコソ)
私はカードリーダーとして、女性が幸せなシエラザードになれるようお手伝いしていきたいと思う所存です。